ブルマンC型の耐力/開き耐力
ブルマンC-50型・C-60型の試験結果からブルマンC型に関する耐力を定めます。

図2は、最も多用される接合法である、2枚鋼板重なり部をC-50型で接合する場合に、せん断方向の荷重を受けたときの荷重と変位量を測定(図1参照)した結果です。 試験では、荷重10t近くまでほとんど変化は見られず、さらに荷重を増加していく過程において、ボルトの食い込み部の状態は全く変化せず、C型ボディのたわみ変化が徐々に進行し最大荷重(最大耐力)に到着します。 その間の過程においては、接手の破壊を起こすことなく耐力を維持しています。 最大時の荷重は3体平均で238.1kN、変位量は42.5㎜です。 また、C-60型については口幅が大きくなっていますが、本体各部の肉厚を十分確保することによりC-50型と同等以上の強度が得られるよう設計されており、耐力についてはC-50型と同様の数値とします。参考に、図1と同様の試験をC-60型で行った結果を、図3に示しますが、最大時の荷重は262.6kNと、C-50型と同等の結果が得られています。
この試験の結果より、ブルマンC-50型の耐力として以下の通り定めます。
使用荷重(長期使用荷重) | 78.4kN |
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安全耐力(短期使用荷重) | 117.6kN |
最大耐力 | 235.2kN |
C型は、使用条件により治具が開く方向への荷重を受ける場合があるため、開き荷重に対する試験も行っています。
図5は、C-50型本体に試験用ボルト(F10T)を取り付け(図4参照)、試験機にセットして引張荷重と変位量を測定した結果ですが、176.4kN付近を境にして急激に開き荷重が大きくなり、弾性限界の荷重付近を示しています。 また、235.2kNを超えて荷重のみ測定し続けたが、297.9kNにて試験用ボルト破断のため、測定を中止しました。 試験後の残留開き量は28.5㎜でしたが、ボディに亀裂や割れなどの損傷は発生していません。 C-60型については「1.ブルマンC型の耐力」で述べた通り強度的にC-50型と同等以上であると判断されるため、開き耐力はC-50型と同様の数値とします。
安全面から、弾性限界を考慮して開き方向の耐力を以下の通り定めます。
使用荷重(使用荷重) | 78.4kN |
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安全耐力(短期使用荷重) | 156.8kN |
最大耐力 | 294kN |
ブルマンLA型の耐力
図7は、LA型のブレース締結部に鋼板を接合し(図6参照)、荷重を加えたときの荷重と変位量を測定した結果で、3体平均の最大荷重は238.1kN、変位量は約9.4㎜となっており、C型と同様最大荷重時においてもボルト先端部や治具本体の破損などは起こらないため、接手の破断は起こらず耐力は維持されています。
この結果よりLA型の耐力を以下の通り定めます。
使用荷重(長期使用荷重) | 117.6kN |
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安全耐力(短期使用荷重) | 176.4kN |
最大耐力 | 235.2kN |
ブルマンNT型の耐力
図9は、NT型の溝部で鋼板を接合し(図8参照)、荷重を加えた時の荷重と変位量を測定したもので、 12.4㎜となっており、C型やLA型と同様、接手の破断は起こらず耐力を維持しています。
この結果よりNT型の耐力を以下の通り定めます。
使用荷重(長期使用荷重) | 98kN |
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安全耐力(短期使用荷重) | 147kN |
最大耐力 | 205.8kN |
ブルマンG型の耐力
図11は、2枚重ね鋼板をG型にて接合した時の、せん断方向の荷重と変位量を測定(図10参照)した結果ですが、最大時の荷重は3体平均で229.3kN、変位量32.9㎜となり、他の治具同様接手の破断は起こらず、耐力を維持しています。
この結果よりNT型の耐力を以下の通り定めます。
使用荷重(長期使用荷重) | 68.6kN |
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安全耐力(短期使用荷重) | 107.8kN |
最大耐力 | 225.4kN |
ブルマン基本治具耐力一覧
(単位:kN)
形式 | C-50型・C-60型 | LA型 | NT型 | G型 | 備考 |
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使用耐力 | 78.4 (78.4) | 117.6 | 98 | 68.6 | 許容耐力であり、 長期での使用荷重 |
安全耐力 | 117.6 (156.8) | 176.4 | 147 | 107.8 | 短期使用耐力 (使用荷重の1.5倍) |
最大耐力 | 235.2 (294) | 235.2 | 205.8 | 225.4 |